30歳からはじめた登山。登山初心者が山の虜になるまでの経緯
このブログは、「どこかに出かけて、体を動かすのってとっても楽しい!」ということが伝えられたらいいなとの想いで書いています。
登山の素晴らしさを紹介したいという意図があって、前回まで槍ヶ岳登山についてエントリーを書いてきましたが、これを読んだだけでは「運動なんかしてないから、登山なんて私には無理」って感じる人が多いのではないかと思います。
ですが私も、登山を始めた年齢は30歳で、しかもそれまでは運動経験はほとんどありませんでした。
では、なぜ30歳で登山を始めることになったのか、それからどのように登山にはまっていったのかについて書いてみたいと思います。
学生時代の運動経験はほぼゼロ
登山、ランニング、サイクリングなどについてブログを書いているので、「ずっと運動が好きだったのでは?」と思う人が多いと思いますが、実はまったくその逆。
高校時代まで部活はずっと文化系でした。唯一やっていたのは水泳くらいでしょうか。スイミングスクールに通っていました。でも、これも小学校の低学年まで。
体育の授業も嫌いな部類でした。ドッジボールとか嫌だったです。。でも逃げるのはうまかったみたいで、最後の一人に残って「どうしよう・・・」なことに時々なってました(^_^;)
社会人になってからもほとんど運動はしなかったです。時々テニスで遊んだり、父親の影響でゴルフをやってみたり、くらいでした。
『お出かけ』は好きだった
運動は好きではなかったですが、外へ出かけることは好きでした。
小さいころから、家族でよく旅行に出かけてました。趣味がかなり違う両親ですが、『旅行』は二人とも大好き。そんな影響もあって、私もかなりの旅行好き。大学生のときには、長期の休みのたびに『青春18きっぷ』で遠くまで出かけてました。そして、社会人になって、お金も時間も余裕ができた後は海外へ頻繁に出かけるようになりました。
普通、社会人になると学生時代に比べると『時間』は少なくなると思いますが、理系の私の場合、大学では研究に忙しかったので、社会人になって、むしろ『時間』は増えました
きれいな景色を見るのも好きでした。まだデジカメが普及していない頃でも、フィルムのカメラ(一眼レフではないコンパクトカメラ)をどこかへ出かける際には持って行って、よく風景を撮影していました。
登山好きになる"下地"は十分にあったのかなと思います。
富士山に登ったけれど・・・
そんな私が"登山"に挑戦することになったのは、25歳のとき。友人に誘われて伊吹山*1に登りました。その日は天気も良くて楽しかったのですが、「またいつか山に登ってもいいかな」くらいの気持ちになった程度で、登山を好きになったわけではありませんでした。楽しかったって言っても、きれいな景色が見れて楽しかったってことで、登山が楽しかったわけではなかったのでしょうね。。
そして、その2年後、"より本格的な登山"を行うことになりました。富士登山。「伊吹山も楽しかったし、日本人なら一度は富士山へ登っておきたい」との気持ちから登ることにしました。
しかし、富士山に登っても登山を好きになることはありませんでした。むしろ逆で、日本一の山に登ったし登山はもういいかな、っていう気持ちになりました。
これは、今になって思うことですが、富士山へ登っても、いわゆる『登山』の楽しさを感じる場面は少ないです。富士登山は、見どころが少なく、頂上まで登った時の"達成感"が主な楽しみかなと思います。登山のための体力づくりには最適な山ですけどw
富士山へ登って、達成感はすごくあったのですが、、、
何か運動を始めたい!
そのまま、年月が流れて、私も30歳になっていました。
もともと無い体力がどんどんと衰えていくのに、少し焦りを感じていた私は何か運動を始めたいと考えていました。
そして、友人に誘われてマラソン大会(距離は10km)に出てみました。
関連エントリー:
旅とランニング。湯河原温泉オレンジマラソンへの参加を通して感じたこと - 自力旅 旅のお供はカメラとGPS
結果は、練習不足だったこともあってバテバテだったものの完走。 走ることの楽しさを感じました。
もっとアクティブに生きてみたい!
だんだんと体を動かすことが楽しく感じ始めていた頃でした。
ベテラン登山家との出会い
そんな時、違う職場に移ることになりました。そして、その新しい職場には、登山歴約45年の大ベテラン登山家の方がいました。
2012年の6月、そのベテラン登山家の方が中心となって、職場の登山に興味がある人たちで山登りに行くことになりました。体を動かすことに興味を持ち始めていた頃だったので、迷わず参加を決めました。
登った山は、三国山。静岡と山梨と神奈川の県境にある山です。
神奈川(相模国)・山梨(甲斐国)・静岡(駿河国)の三国の境に位置することから三国山と呼ばれる。三国の境は山頂より約500m東側の標高1,320m余りの中腹にあり、標高1,343mの山頂部は山梨県・静岡県境に位置する。
実は、三国山に登ったのは雨の日でした。ふつうなら雨の日に山に登ったら「もうこりごり」となっても不思議ではありません。でも、むしろ楽しかったのです。
三国山は1300mほどの山で、それほど有名な山ではありませんが、ブナのある風景を楽しむことのできる山です。そのベテランの方は、梅雨の時期に行くので、『雨が降っても楽しめる山』ということで三国山を行き先として選んでくれていたのです。その方曰く、
「ブナ林は雨の日がいいんだよ」
そのベテランの方は写真撮影も大好きなのですが、雨の日のブナ林は良い写真が撮れるそうです。
たしかに、実際に雨の日のブナ林に行ってみて、幻想的な風景が広がっていてとても感動しました。
登山にはいろんな楽しみ方があるんだ!
この体験は『登山の楽しさ=晴れた日に頂上からきれいな景色を見ること』だけだと思っていた私の考えを覆しました。
徐々にステップアップ
三国山に登って以降、1~2か月に1回の頻度でその職場のメンバーで山へ出かけるようになりました。毎回、そのベテランの方が登る山を選んでくれたのですが、とてもありがたいことに、どの山に登ったら"独り立ち"できるか(そのベテランの方がいなくてもどんな山にでも登れるようになれるか)という視点で登る山を選んでくれていたのです。
そんなわけで、はじめのうちは、毎回、山登りにテーマがありました。ある時は『山小屋に泊まろう』だったり、またある時は『岩場のある山に登ろう』だったり。おかげで、登山に必要な知識が自然と身についていきました。
そして山の怖さも学べました。これは想定外の出来事でしたけどw
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また、山に登りながらそのベテランの方と話すことで、登山の魅力についてどんどん知ることができました。例えば、とある山に登って頂上から別の山が見えたとき、「あの山は○○岳っていう山で、花がきれいな山なんだよー」って教えてもらいます。
そうやって、山に登る度に、登りたい山が増えていきました。
鳳凰三山から見た北岳(写真中央)。頂上から他の山を見ていて、今度はあの山に登ってみたい!と思うことがよくあります
登山仲間との交流
1~2か月に1回の頻度で山に登っていると、「登山が趣味です」とはっきりと言えるようになってきました。「登山が趣味です」と言うようになると、登山が趣味の人や登山を始めてみたいという人との交流が盛んになっていきます。
まだ山登りをはじめて2年ちょっとですが、多くの方と一緒に山登りに行きました。山へ登ると気持ちが開放的になるのか、普段話せないようなことも話せます。登山を通して多くの方と親しくなれたことは、私にとって財産となっています。
アメリカ&メキシコの方たちと富士山に登ったこともありました。楽しかったです!
そして、北アルプスの槍ヶ岳へ
登山を(本格的に)始めてから15か月で北アルプスに登ることになりました。"登山家の憧れ"槍ヶ岳へ。
短期間で槍ヶ岳にチャレンジしようと思えたのも、上述のベテラン登山家の方が"鍛えて"くれたおかげです。その方にはとても感謝しています。
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北アルプスに登って、登山は素晴らしいって心の底から思うようになりました。
「人生に一度は富士山に登りたい」っていう人が多いですが、人生に一度は北アルプスに登っておいた方がいいでしょうw
槍ヶ岳は難易度高めですが、北アルプスには初心者でも登りやすい山もあります。立山は初心者でも比較的簡単にアクセスできます。
とりあえず挑戦してみる、そして続けてみる
登山に興味を持った方がいたら、とりあえず近くにある簡単に登れる山(東京近郊だったら、例えば高尾山)に登ってみるのがいいと思います。装備も最低限で良いでしすし。高尾山のような山なら、靴は、サンダルやヒール靴はありえないですが、ふつうのスニーカーであれば十分でしょう。
でも、高尾山に登山の魅力がすべて詰まっているとは思えません。体験できるのは登山の魅力のごく一部。なので、高尾山に登って、楽しいと思える部分が少しでもあったのなら、次はもうちょっと高くて眺めのいい山に登ってみる、その次はちょっと遠くにある花のきれいな山までお出かけしてみる、こうして色んな山に登っていくうちに、登山の魅力がだんだんとわかっていくと思います。
物でも人でも、一度触れただけ(一度会っただけ)ではその良さがわからないことがよくありますよね? 登山も同じかな。
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*1:岐阜と滋賀の県境にある山