自力旅 旅のお供はカメラとGPS

ランニング、登山、自転車、街歩きなど、「自力」で楽しむアクティブな旅。国内&海外の「自力旅」を写真とGPSで記録していきます。

霧の中の決死行。日没迫る西鎌尾根を行く - 槍ヶ岳・笠ヶ岳登山(10)

北アルプス登山2日目の午後、日没が迫る中、槍ヶ岳山荘をめざし西鎌尾根を行きます。

 

「早く山荘へ辿り着きたい。」

しかし、岩場の起伏に富んだ道は焦る我々を簡単には通してくれません。

 

さらに、そんな我々のゆく手を遮るかのように霧が現れました。それほど深い霧ではなかったのでまだよかったですが、タイムリミットが迫る中、目指す方向が雲に覆われていて見えないという状況に怖さを感じました。

 

高さの恐怖とも戦いながら、西鎌尾根を必死に乗り越えていった時の様子を記していきます。

『決死行』という言葉はちょっと大袈裟ですけどね(^_^;)

 

前の記事

「えっ!? 今から槍ヶ岳山荘まで行くんですか??」- 槍ヶ岳・笠ヶ岳登山(9) - 自力旅 旅のお供はカメラとGPS

 

日没まで時間がない我々は、樅沢岳をすごい勢いで下ってきました。

前方に目をやると、槍ヶ岳を覆う雲が徐々に厚くなってきています。

 


西鎌尾根と槍ヶ岳。槍ヶ岳は雲に隠れています

 

双六小屋から1時間ほど歩いて、硫黄尾根がはっきり見える場所までやってきました。

硫黄ガスのため植物が育たず、はげ山になっています。

西鎌尾根を歩いていて、少し硫黄の香りが漂っていました。 

 


硫黄尾根。なんだか不気味です。

 

このあたりで槍ヶ岳方面を目指して西鎌尾根を歩いていた人を追い抜かしました。40才くらいの男性が、一人で歩いていました。

聞くと、我々と同じように槍ヶ岳山荘を目指しているとのこと。

われわれは必死のペースで歩いていましたが、それでも日没までに着けるかどうか微妙なところ。それなのにこの男性は、我々の半分程度のペースでしか進めていないようでした。間違いなく日没までにはたどり着けないでしょう。

ただ、我々には他人の心配をしている余裕などないので、「無事に槍ヶ岳山荘で会いましょう」と声を掛け合い先を急ぎます。

とはいえ心配で、時々後ろを振り返ってみましたが、すぐにその方の姿は見えなくなってしまいました。

 


西鎌尾根を行きます。晴れているときにもう一度ゆっくり歩きたいです・・

 


西鎌尾根にも徐々に霧がかかってきました

 

山の天気は午後に崩れやすい

前回の記事に、日没の2時間前くらいまでにその日の行程を終えるくらいのスケジュールが理想、というようなことを書きました。

それには、日が暮れると暗くなって危険ということに加え、山では午後になると天気が崩れやすいということもあります。そのため、できるだけ午後の早い時間帯には下山する or 宿泊地に到着するのが望ましいということです。(夏の登山では特にそうです)

 

南アルプスの鳳凰三山で落雷に遭遇したのも午後でした。あの日の朝は晴れ間も見えていたにも関わらず、午後に危険な目に遭ってしまいました。

 

関連記事

南アルプス『鳳凰三山』で落雷に遭遇。夏の登山の恐ろしさを知る - 自力旅 旅のお供はカメラとGPS

 

そして、北アルプス登山の2日目の午後も天候が崩れてきてしまいました。

日没で暗くなるだけで怖いのに、暗くなってさらに霧に包まれたらなんて想像すると怖くてたまりません(||゚Д゚)

 


道が霧に覆われてきました(・_・;)

 


先が見えない・・・(;・∀・)

 

日没への恐怖、霧の恐怖。ここに高さの恐怖が加わってきます。道中、高さの恐怖を感じる箇所がいくつもあります。

 


崖の上のような場所を歩いていきます

 

槍ヶ岳へと続く西鎌尾根、気を付けて行けばそれほど危なくはありませんが、それは『気を付けて行けば』の話です。油断したら落ちても不思議ではありません。

気持ちはとにかく焦っていましたが、どうにか心を静めて慎重に進んでいきます。

こういう場所で焦らないためにもゆとりのあるスケジュールを組む必要があるのです。。。

 


眼下の谷。高所恐怖症の人だと足がすくんでしまうでしょう

 


岩も乗り越えていきます

 

実は、途中、道を間違えた箇所がありました。

「えっっっ!?こんなに怖い場所を行くの??手を放したら落ちちゃうじゃん・・・(T^T)」というようなコースを通ってしまいました。

どこで間違えたのかわかりませんが、焦りと霧が正しい道を見失わせたのでしょう。後から考えるととても怖ろしい出来事でした。

 


こわい・・・(;_:)

 

そして、双六小屋から約3時間、千丈乗越という場所にたどり着きました。

 


千丈乗越に到着

 

ここまで来れば、滑落の恐怖を感じるような場所はもう無いので、暗くなってもどうにか槍ヶ岳山荘までたどり着けるかなという状況にまでなりました。

そして、、、

 


うっすらと槍ヶ岳山荘らしき建物の影が!!!

 

建物が見えたときはうれしくて泣きそうになりました(>_<) 

槍ヶ岳山荘まで、あとは300mほどの高さを一気に登るだけです!