「えっ!? 今から槍ヶ岳山荘まで行くんですか??」- 槍ヶ岳・笠ヶ岳登山(9)
北アルプス登山2日目の行程は、笠ヶ岳山荘から槍ヶ岳山荘までの予定。
ところが、午後1時前の段階で、まだ途中の双六小屋。このまま槍ヶ岳山荘を目指すと、途中で日が暮れてしまう可能性がありました。
双六小屋から槍ヶ岳山荘までの途中には山小屋など無いので、『行く』or『行かない』の2択しかありません。。
登山経験が十分な方ならここで『行かない』を選ぶかと思いますが、この時の我々の頭の中には『行く』の選択肢しかありませんでした。
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朝の北アルプス稜線歩き。写真撮影に夢中!- 槍ヶ岳・笠ヶ岳登山(8) - 自力旅 旅のお供はカメラとGPS
12時50分、双六小屋。
昼食を摂り終えた私たちは、槍ヶ岳山荘を目指して再び歩き始めました。
双六小屋から見た北方の景色。じっくり見ること無く先を急ぎます
双六小屋を出ると、すぐに急な登りに差し掛かります。
樅沢岳(もみさわだけ)への登りです。
この登りの途中、槍ヶ岳方面からのグループとすれ違いました。
すれ違う時、その方たちから話しかけられました。
「えっ!? 今から槍ヶ岳山荘まで行くんですか??」
大変驚かれてしまいました。
この言葉を聞いたとき、我々の槍ヶ岳山荘まで『行く』という選択肢が危険なものであることを強く認識しました。
しかし、それでも引き返さず、前へ進むことにしました。
槍ヶ岳山荘を目指すという判断
双六小屋から槍ヶ岳山荘までのコースタイムは約5時間。
双六小屋を出たのが午後1時前なので、コースタイム通りだと、槍ヶ岳山荘への到着時間は午後6時頃になってしまいます。
前日、笠ヶ岳山荘で見た夕暮れが午後5時半頃だったので、午後6時ではかなり暗くなってしまうことが予想できました。
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双六小屋から槍ヶ岳山荘のコースを歩くのはもちろん初めてでした。
登山で、初めての場所を暗い中歩くのはとても危険です。
しかも、槍ヶ岳山荘へのコースで通る『西鎌尾根』は決して安全な場所ではありません。暗い中歩けば、コースを見失い滑落するという可能性も十分に考えられます。
こんな状況なら、ふつう槍ヶ岳山荘へ向かうべきではありません。
体調や天候によって、想定以上に時間がかかる可能性もあります。日没の2時間前くらいに着ける見込みがあるなら行っても大丈夫、という判断がまともかなと思います。
しかし、この時の我々は正常な判断ができませんでした。
休みの都合上、3日目には下山しないといけないので、槍ヶ岳へ登るためにこの日に槍ヶ岳山荘へどうしても行っておきたいという気持ちがはたらいていました。
結果論を言うと、今こうしてブログに書いているわけなので、何事も無く、良かったのですが、槍ヶ岳山荘を目指すというのは今から振り返ると間違った判断だったと思います。
ギリギリの状況へと陥るきっかけとなった2つの"誤算"
- 1日目の朝、車を停めるのに手間取り、スタートが1時間半も遅れてしまった。その結果、1日目の午後の予定だった笠ヶ岳山荘⇔笠ヶ岳の往復が2日目の朝になってしまった。
- 北アルプスの稜線から見る景色が素晴らしすぎて、写真撮影に夢中になってしまい、想定より時間がかかってしまった。
ゆとりを持ってスケジュールを組んでおきましょうということです(^_^;)
そもそものスケジュールに無理があった
山に登る際は、上記の誤算以外にも様々なことが起こりうるので、ゆとりを持ってスケジュールを組むべきです。
しかし、今回の登山では、「ゆとり」とはかけ離れたスケジュールを組んでしまいました。
1日目の新穂高から笠ヶ岳山荘まで、2日目の笠ヶ岳山荘から槍ヶ岳山荘まで、それぞれのコースタイムはともに9時間程度。これに休憩時間などを考慮すると少なくとも10時間の所要時間を見ておいた方がいいでしょう。さらに「ゆとり」を考えると12時間かかっても問題無いようなスケジュールを組む必要があります。
ところが、われわれの元々のスケジュールは、1日目に新穂高を出るのが7時頃、2日目に笠ヶ岳山荘を出るのが6時頃と、もし12時間かかったら日没を過ぎてしまうものでした。
なぜ、こんなにタイトなスケジュールを組んでしまったかというと、そこには過信がありました。
これまで登山してきた経験上、『山と高原地図』などに書かれているコースタイムの8掛けくらいの時間で行くことができると踏んでいました。
『山と高原地図』は登山愛好家の"バイブル"みたいなもので、登山コースとその所要時間が書かれています。コースタイムは40代~50代くらいの登山経験者の所要時間を想定しているので、30歳くらいの登山に慣れた人だとたしかにコースタイムの80%くらいの時間で登り下りすることができるのですが。。。
実際、何もせず、ただひたすら歩いていればコースタイムの8掛けで行けたのかもしれませんが、写真を撮ったり、しゃべりながら休憩していたりすると、コースタイムとほぼ同じくらいの所要時間がかかってしまいました。
たとえコースタイムと同じペースでも、何事も無ければ大丈夫だったのでしょうが、"誤算"があったので苦境に陥ってしまいました。
もし、今回と同じルートを同じ期間で行くのならば、初日の新穂高温泉や2日目の笠ヶ岳山荘の出発は遅くとも早朝5時くらいに設定すべきだったと思います。
樅沢岳山頂に到着。前方には槍ヶ岳が・・・見えない
冷静な判断ができなかった我々は、双六小屋を出てから30分弱で樅沢岳山頂に到着。
樅沢岳山頂
樅沢岳山頂からの眺め。鷲羽岳のあたりの山脈もきれいですね
樅沢岳山頂から進行方向に目をやれば、西鎌尾根とその先の槍ヶ岳がはっきりと見えるはずです。
が、槍ヶ岳が・・・
雲の中に隠れている…(・_・;)
午前中はきれいに見えていたのに……
まさに雲行きが怪しい状態になってきました。。